(一)主旨及び内容の特色
「日本学研究叢書」(全10巻)は台湾初の日本文学術専門書である。本叢書は台湾を基盤とする編集方針のもと、特に主題が明確な日本研究論文を選録し、新たに発表された研究成果を網羅している。台湾と日本間の相互理解を蓄積し、国際日本学研究の深化を目標として刊行される。
本シリーズが扱う領域は以下の通り:
(1)日本中世・近現代の文学、言語、物語、および現代日本語の諸相。近世・近代の中国、日本、朝鮮における朱子学、陽明学など各学派の多元的発展の比較研究を含む。
(2)「台湾から東アジアを考える」という視点で、歴史の変遷を振り返ると同時に、現代東アジア社会が直面する「未解決の諸問題」を探求し、東アジア諸国間の急速に変化する複雑な関係性について、平和実現を目標に多様な角度から論じる。この十巻叢書が扱う課題と論説は、台湾・日本に加え、東アジア各国の関連問題を広く論じ、これを地域研究の基盤として、国際日本学研究の新たな方向性を模索するものである。
(二) 発展の方向性
現代東アジアの国際社会ではグローバル化が急速に進展している。「日本が台湾をどう見るか、台湾が日本をどう見るか」を問題意識とし、台湾における日本学研究を国際的な学術舞台へと押し上げようとしている。次世代の若い日本研究者を育成するため、今後第二の十巻叢書を刊行するべく最大限の努力を尽くさねばならない。
徐興慶
国立台湾大学日本語文学系教授
2013年11月8日